診療科別の内装ポイント

診療科目に合わせたクリニック内装の考え方

クリニックの内装は、どの診療科でも同じではありません。
患者さんの年齢層や不安の強さ、必要な設備、スタッフの動き方によって、重視したいポイントが変わります。
このページでは、診療科ごとの特徴をふまえて、内装づくりで押さえたいポイントを整理してご紹介します。

このページでわかること

診療科ごとの違い

素材選びや設備配置を工夫すると、日々の清掃・衛生管理がしやすくなります。

共通して大切なポイント

どの診療科でも共通して大切な「心理・動線・衛生」の考え方を確認できます。

設計時の優先順位

どこから決めれば失敗しにくいか、考え方の順番をつかめます。

診療科が違っても、まず共通で大切な3つの視点

診療科によって必要な設備や雰囲気は変わりますが、
内装設計の土台として共通して大切なのは、患者心理・動線・衛生管理の3つです。
この3つを最初に押さえておくと、診療科ごとの調整がしやすくなります。

患者心理

不安や緊張をやわらげる見せ方(色・光・案内のわかりやすさ)を意識します。

動線

患者さん・スタッフ・物品の動きがぶつからないように整理します。

衛生管理

清潔を保ちやすい素材や設備配置を前提に考えます。

ポイント

診療科ごとの個性はこのあと調整できます。
まずは「安心・動きやすい・清潔」の土台を先に整えるのがおすすめです。

診療科別に見る内装デザインのポイント

ここからは、診療科ごとに内装で重視したいポイントを整理します。
ご自身のクリニックに近い診療科からご覧ください。
(複数科目の場合は、共通部分をベースに優先順位を決めるのがおすすめです)

内科クリニックの内装ポイント

特徴

一般的な内科は、幅広い年代の患者さんが来院しやすく、初診の不安も出やすい診療科です。
そのため、清潔感・安心感・案内のわかりやすさが特に重要になります。

内装で重視したいポイント
  • 受付〜待合〜診察の流れがわかりやすい
  • 清潔感のある色(白・ベージュ系)を基調にする
  • 高齢の方も移動しやすい導線・段差配慮
  • 待合室の圧迫感を減らす(明るさ・視線の抜け)
よくある注意点
  • 待合の座席配置が窮屈で混雑感が出る
  • サインが少なく、初診の方が迷いやすい
  • 収納不足で、受付まわりが雑然と見えやすい
ひとこと設計メモ

「誰にとっても使いやすい」を基準にすると、長く運用しやすい内装になりやすいです。

外科・整形外科の内装ポイント

特徴

外科・整形外科では、処置・検査・リハビリなど、動きの多い運用になりやすい傾向があります。
患者さんの移動負担にも配慮が必要です。

内装で重視したいポイント
  • 処置室・診察室・待合の動線を整理する
  • 車椅子や歩行補助の方も通りやすい幅を確保する
  • 滑りにくく清掃しやすい床材を選ぶ
  • スタッフが動きやすいバックヤード配置にする
よくある注意点
  • 患者動線とスタッフ動線が重なりやすい
  • リハビリ機器や備品の置き場が不足しやすい
  • 通路幅が不足して圧迫感が出る
ひとこと設計メモ

「安全に動けるか」を最優先にすると、見た目の整え方も決めやすくなります。

産婦人科・レディースクリニックの内装ポイント

特徴

不安や緊張を抱えた状態で来院される方も多く、安心感・プライバシー配慮が特に大切な診療科です。

内装で重視したいポイント
  • やわらかい色味・照明で落ち着きをつくる
  • 受付・待合での視線配慮(座席配置・間仕切り)
  • 防音・プライバシーへの配慮
  • 相談しやすい雰囲気のカウンセリング空間
よくある注意点
  • 待合で視線が合いやすく落ち着かない
  • 音漏れが気になって相談しにくい
  • 明るすぎる照明で緊張感が強くなる
ひとこと設計メモ

「安心して話せる空間」を意識すると、必要なデザイン要素が見えてきます。

小児科クリニックの内装ポイント

特徴

小児科は、子ども本人だけでなく保護者の安心感も大切です。
怖さを減らしながら、安全性と衛生性を両立する設計が求められます。

内装で重視したいポイント
  • 子どもが怖がりにくい色・やわらかい雰囲気
  • 角の少ない家具・安全性の高い設計
  • ベビーカー移動や親子同伴を想定した通路幅
  • 待ち時間の負担を減らす工夫(座席配置・視線計画)
よくある注意点
  • デザインを子ども向けに寄せすぎて、落ち着きがなくなる
  • 安全性より見た目を優先してしまう
  • 保護者の荷物置き場や導線が不足しやすい
ひとこと設計メモ

「子どもが安心」「保護者が使いやすい」の両方を満たす視点が大切です。

歯科クリニックの内装ポイント

特徴

歯科は、治療への緊張感が出やすい一方で、清潔感や信頼感が特に重視される診療科です。
受付・待合・診療スペースの印象差も設計ポイントになります。

内装で重視したいポイント
  • 清潔感を強く感じる色・素材選び
  • 待合で緊張をやわらげる照明・雰囲気
  • 診療スペースのプライバシー感(半個室・視線配慮)
  • 器具や配線が雑然と見えにくい設計
よくある注意点
  • 清潔感を意識しすぎて冷たく見える
  • 待合と診療空間の印象差が大きすぎる
  • 収納不足で生活感が出やすい
ひとこと設計メモ

「清潔感+安心感」のバランスを意識すると、通いやすい印象になりやすいです。

眼科・耳鼻科・美容系クリニックの内装ポイント

特徴

このカテゴリは診療内容が異なるため、必要な設備や見せ方に違いがあります。
ただし、導線のわかりやすさ・待合の快適性・プライバシー配慮は共通して大切です。

内装で重視したいポイント
  • 眼科:検査導線のわかりやすさ、サイン計画
  • 耳鼻科:親子来院を想定した待合・通路計画
  • 美容系:ブランドイメージとプライバシーの両立
よくある注意点
  • 設備優先で、患者さんの動線が複雑になる
  • デザインを重視しすぎて運用しにくくなる
  • 案内表示が不足して迷いやすい
ひとこと設計メモ

設備条件と患者体験の両方を見ながら、優先順位を決めるのがコツです。

診療科を問わず大切な「動線計画」の考え方

診療科ごとの違いがあっても、内装で失敗しにくくするためには、
患者さん・スタッフ・物品の動き方を分けて考えることが大切です。

患者動線

  • 入口から受付まで迷わない
  • 待合から診察室までスムーズに進める
  • 会計・退出の流れが混雑しにくい
  • 初めて来る人でもわかる案内表示がある

スタッフ動線

  • 診療・処置の行き来がしやすい
  • 備品補充や清掃動線が確保できる
  • 患者動線とぶつかりにくい
  • バックヤード動線に無理がない

物品・衛生動線の視点(追加で確認)

  • 消毒・清掃用品の置き場が使いやすいか
  • 廃棄物動線が無理なく確保できるか
  • 清潔エリアと汚染リスクのある動きが混ざらないか

動線図の目印

診療科別に見た内装の優先ポイント(簡易比較)

細かい条件は診療内容によって変わりますが、まずは「何を優先して考えるか」を比較できるように、簡易的に整理しました。

診療科優先しやすいポイント特に意識したいこと
内科清潔感・案内のわかりやすさ幅広い年代に使いやすい導線
外科・整形安全性・移動しやすさ通路幅・処置動線・床材
産婦人科安心感・プライバシー視線配慮・防音・照明
小児科安全性・親子対応角の少ない設計・待合の工夫
歯科清潔感・緊張緩和待合の雰囲気・収納・視線配慮
眼科/耳鼻科/美容設備+体験設計サイン計画・プライバシー・回遊性
ポイント

最初からすべてを盛り込むより、
診療科に合わせて「優先順位」を決めてから設計を進めると、予算や工期の調整もしやすくなります。

どこから決めればいいか迷ったら(おすすめの順番)

診療科ごとに必要なことが多く見える場合は、次の順番で整理すると進めやすくなります。

  1. 患者層を整理する
    例:高齢者が多い / 親子来院が多い / 初診の不安が強い など
  2. 必要な設備・部屋を整理する
    診療内容に必要な機器・スペースを先に洗い出します。
  3. 動線を考える
    患者さん・スタッフ・物品の流れをざっくり分けて考えます。
  4. 雰囲気(色・光・素材)を決める
    最後に印象づくりを調整すると、設計の軸がぶれにくくなります。
ポイント

先に雰囲気だけ決めるより、
「運用」→「動線」→「印象」 の順で考えると、失敗しにくくなります。

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診療科別の違いが整理できたら、次は内装全体の条件や、開業準備の進め方を確認すると、より具体的に計画しやすくなります。

まとめ

診療科ごとに内装の見せ方や必要な設備は異なりますが、
共通して大切なのは、患者さんが安心できること・スタッフが動きやすいこと・清潔を保ちやすいことです。
この3つを土台に、診療科に合った優先順位を決めていくと、無理のない内装計画につながります。

次に読むなら

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「何から決めればいいかわからない」段階でも大丈夫です。
物件選び・内装の方向性・動線・費用感など、今の状況に合わせて整理しながら進めることができます。

詳細

診療内容や患者層の違いによって、求められる内装も大きく変わります。

内科・外科・産婦人科

1.内科クリニックの内装デザイン

内科に求められる内装・デザインの特徴

内科は全年齢層が来院し、患者数も多いことが一般的。そのため、

  • 長時間の待ち時間に耐えられる快適な待合環境
  • 診察室と処置室の距離を縮めた効率的動線
  • 多目的に対応できる診療空間

これらの要素が重視される。
また、一般内科・循環器・心療内科など専門によりデザインの方向性が変わるため、柔軟性のある設計が求められる。

内科内装デザインで重要な3大ポイント

① 快適で落ち着きのある待合室

  • 質の良いソファ
  • 視界が散らからない配置
  • 観葉植物や間接照明によるリラックス効果
  • 高齢者に優しい座面高さや手すり

特に 待ち時間対策は患者満足度に直結する。

② 診察室の機能性と動線計画

  • 医師・看護師が動きやすい配置
  • カルテや医療機器の配置最適化
  • プライバシー確保のための遮音や動線分離

効率化は回転率向上=経営改善につながるため、極めて重要。

③ 衛生管理とメンテナンス性

  • 抗菌・防汚素材の床・壁
  • 手洗い場の配置
  • 空調・換気設備の衛生性
  • 掃除しやすい素材と仕様

日常清掃のしやすさはスタッフ負担の軽減にも直結。

内科の内装業者の選び方

複数の診療科の実績がある業者:幅広い知見を持ち、柔軟な提案が可能
動線設計が得意:内科は回転率が命
清潔感・快適性のバランスが取れた提案

内科のデザイン事例

木の温もりを活かした地域密着クリニック
バリアフリー対応、あたたかな木目調を基調とした待合室が特徴。

透析医院から内科へのコンバージョン
「マジックミラー」を受付に設置し、患者の様子を把握しやすい工夫。

心療内科の温かい照明空間
間接照明を活用し、患者同士が目を合わせないレイアウト。

循環器内科のカフェ風インテリア
明るい木目と柔らかい照明で緊張を緩和。

2.外科クリニックの内装デザイン

外科に求められるもの
  • バリアフリー対応
  • 衛生管理の徹底
  • 手術室・処置室・回復室の合理的配置
  • 患者の不安を軽減する落ち着いた空間

特に外科は感染対策が重要で、素材選びから動線設計まで高度なノウハウが必要。

外科デザインのポイント

① 衛生管理と清潔感

  • 抗菌素材、防汚素材を使用
  • 術後患者の動きやすさに配慮
  • 掃除しやすい床材・壁材

② スタッフと患者の動線最適化

  • 手術・処置室を中心とした効率動線
  • スタッフ動線と患者動線を分離
  • プライバシーにも配慮
③ 安心感を与えるデザイン
  • 木目調・アースカラー
  • 柔らかな光
  • ホテルライクな落ち着き
外科の施工事例
  • 丸みを活かしたバリアフリー外科
  • 安心感のあるブルーを基調にした日帰り手術クリニック
  • 和をテーマにした脳神経外科
  • 美容外科のラグジュアリー空間

3.産婦人科(産科・婦人科)の内装デザイン

産婦人科に求められる内装
  • 妊婦が安心できる温かい空間
  • プライバシーの徹底した配慮
  • 赤ちゃんと母親に優しい設備
  • 動線のわかりやすさ
デザインの重点ポイント

① リラックス空間づくり

  • ナチュラルカラー
  • やわらかい光
  • 木目のインテリア

心身が不安定になりやすい患者に寄り添うデザインが必須。

② プライバシーと動線の両立

  • 個室型診察室
  • カーテンやパーティション
  • 遮音性の高い壁
  • 診察室—内診室—分娩室をスムーズにつなぐ動線

③ 衛生管理と母子に優しい設備

  • 授乳室、オムツ替えスペース
  • 防汚・抗菌素材
  • 加湿・清浄機能を備えた空調
産婦人科のデザイン事例
  • 絵本の世界を表現した産婦人科
  • 丸みを帯びた優しい院内デザイン
  • 木材と自然素材をふんだんに使用した産婦人科
  • 幻想的な白基調クリニック
小児科・歯科・眼科・耳鼻科・美容

患者層や不安の種類が異なるため、空間の作り方にも違いがあります。

4.小児科内装デザイン

小児科に求められるもの
  • 子どもの不安を減らす楽しいデザイン
  • 危険の少ない安全な造り
  • 親子が利用しやすい動線
  • 感染症対策のゾーニング
小児科デザインの3大ポイント

① 子どもが怖がらないデザイン

  • 明るい色使い
  • 動物・空・自然などのイラスト
  • キャラクター装飾
  • キッズスペース

② 安全性の高い設計

  • 角を丸めた家具
  • クッション性の床
  • 転倒防止の段差なし設計

③ 待ち時間のストレスを減らす

  • 絵本やおもちゃ
  • 感染症エリア分離
  • 空気清浄設備
小児科の事例
  • 木の温もりとキッズスペースがある小児科
  • 枝のデザインを使った白基調の院内
  • VOCゼロ塗料を使った安全性最大化の建物
  • 子どものサイズに合わせた“小さな診察室”

5.歯科内装デザイン

歯科に求められる内装
  • 清潔感
  • 居心地の良さ
  • 動線の合理化
  • 診療内容にあわせた設備配置(一般歯科・審美・口腔外科で異なる)
歯科デザインの重要ポイント
  • 抗菌素材・清掃しやすい設備
  • 木目×白×間接照明の“ホテルライク”内装が人気
  • 患者動線とスタッフ動線の分離
  • パーテーションでのプライバシー確保
歯科の事例
  • オリーブカラー×木目の清潔デザイン
  • 遊具のようなカラフル待合室
  • 狭さを感じさせない空間設計
  • ラグジュアリーな審美歯科

6.眼科内装デザイン

眼科特有のニーズ
  • 大型検査機器の設置計画
  • 検査導線の合理化
  • 視覚障害・高齢者への配慮
  • わかりやすい案内サイン
デザインのポイント
  • 光の反射・まぶしさを避ける仕上げ
  • 車椅子対応の広い通路
  • 視認性の高いサイン計画
  • 清潔で落ち着いた雰囲気
眼科の事例
  • 壁に「ランドルト環」を配置した遊び心デザイン
  • ホテルのような高級受付
  • フロアタイルで明るさと高級感を両立
  • 近未来的なミラーデザイン眼科

7.耳鼻咽喉科の内装デザイン

耳鼻科に求められるもの
  • 小児患者に優しいデザイン
  • 繁忙期の混雑に耐える広い待合
  • 診察→検査→治療の効率動線
デザインの要点
  • 優しい色合い、イラストなどで親しみやすさを演出
  • 子どもと親のためのベンチやキッズスペース
  • パステルカラーや木目で落ち着ける空間
  • スタッフの動線を短く、患者の流れはスムーズに
耳鼻科の事例
  • ナチュラル×白の明るい空間
  • 親子で座れるベンチ
  • LED照明に更新した新看板
  • グリーンを基調にした爽やかな待合室

8.美容クリニックの内装デザイン

美容クリニック特有のニーズ
  • 高いデザイン性
  • 非日常感・高級感
  • プライバシー
  • パウダールームの設置

ターゲット層に合わせたブランディングが必須。

美容クリニックの設計ポイント
  • 白・ベージュ・ゴールド・淡色系の上質デザイン
  • 余計な装飾を排したミニマル空間
  • カフェ風・ホテル風の内装が人気
  • 個室動線とプライバシー確保
  • 高い清潔感を保てる素材選び

(まとめ)診療科別クリニック内装デザインの本質

クリニックの内装は「科目が変われば、求められるデザインも変わる」。
しかしすべてに共通する核がある。

全科目に共通する3原則
  1. 患者の不安を減らす“心理デザイン”
    • 照明、色彩、素材、空間レイアウトすべてが患者体験に直結する。
  2. スタッフ動線の効率化
    • 診察効率を高めれば、待ち時間が減り、スタッフの疲労も軽減する。
  3. 衛生とメンテナンス性
    • 医療において清潔感はブランドそのもの。
動線・ゾーニング・収納

見た目だけでなく、安全性や効率に直結する内容です。

9.クリニック内装デザインにおける「動線計画」完全解説

医療施設において最も重要なのは「動線」である。
動線は以下の3分類で考える。

■ 動線1:患者動線

患者動線はクリニックの「ストレス体験」を左右する。

◎ 患者動線の黄金パターン

  • 入口
  • 受付
  • 待合
  • 診察
  • 会計
  • 退出

これがスムーズであるほど、患者満足度は高い。

◎ 患者動線の改善テクニック

  • 受付前の混雑を避けるため、入口〜受付までの距離を最適化
  • 座ったままでも呼び出しの聞こえる音響設計
  • 診察室と会計を離しすぎない
  • 待合室で患者同士の視線を合わせないレイアウト

特に 視線・音・距離 の調整は医療デザインならではの視点だ。

■ 動線2:スタッフ動線

クリニックの収益性を左右する「最重要要素」。

◎ スタッフ動線を短縮するメリット

  • 1患者あたりの対応時間が短縮
  • 医師・看護師の疲労軽減
  • 利用可能な診察枠が増える
  • 将来の人手不足にも備えられる

動線設計だけで、クリニックの回転率は 15〜30%改善 することも珍しくない。

■ 動線3:物品動線(医療機器・消耗品)

医療機器の出し入れが頻繁な科では特に重要。

◎ 物品動線における注意点

  • 専用ストックルームの確保
  • 医材を取り出しやすい棚の高さ
  • 滅菌済み器具と使用済み器具の動線分離
  • 処置室横の物品庫

歯科・外科・美容では物品動線が「安全性」に直結する。

10.クリニック内装における「ゾーニング」設計の重要性

クリニック内装を考える際、最も誤解されやすい概念が「ゾーニング」だ。
ゾーニングとは、用途に応じて空間を区分し、それぞれが干渉しないように整理する設計手法のこと。
住宅やオフィスでのゾーニングとは異なり、医療施設では 安全・衛生・診療効率・プライバシーの4要素が複雑に絡む。

■ クリニックで必要な5大ゾーンとは?
  1. パブリックゾーン
    • 誰でも入れる空間。
    • 例:エントランス、受付、待合室。
  2. セミパブリックゾーン
    • 患者は入れるが、診療に関係する区画。
    • 例:廊下、診察室前、検査待合、小児の前室など。
  3. プライベートゾーン(医療者ゾーン)
    • 医師・スタッフのみが動く裏動線。
      • 例:スタッフルーム、倉庫、バックヤード。
  4. クリーンゾーン
    • 衛生度の高い処置・手術に関わる空間。
      • 例:処置室、手術室、点滴室、消毒室、検査室。
  5. 機械室・設備ゾーン
    • 空調設備、給排水、分電盤、医療ガスなど。
■ 科目別ゾーニングの特徴

内科
患者動線の流れを単純化し、裏動線と交差させない。

外科
クリーンゾーンを明確に分け、看護導線の短縮が必須。

産婦人科
プライバシー重視。
患者同士、あるいは患者と医師が無駄に顔を合わせない設計が基本。

小児科
感染症隔離室を別ゾーンとして設ける。
通常患者と動線を交差させない。

歯科
ユニット動線、消毒滅菌動線、技工制作動線の3つを分離する必要がある。

■ ゾーニングが悪いと何が起こるか
  • 待合が混雑する
  • 診察の回転が落ちる
  • 患者のプライバシーが守れない
  • 医師が疲弊し、退職者が出る
  • クレーム増加
  • 感染リスクが上昇

内装デザインは“見た目”ではなく、実は 安全と効率 の設計である。

11.クリニックの「収納計画」完全ガイド

収納計画は軽視されがちだが、医療現場では生命線である。
収納が少ないと、受付や廊下に物が溢れ、清潔感が一気に失われる。

■ 科目別の収納要件

● 内科
薬品庫、書類棚、消耗品収納。
処置室横にストックが必須。

● 外科
衛生材料、術具、滅菌器周辺の収納が多い。
クリーン・ダーティ動線の分離も必要。

● 小児科
オムツ、タオル、玩具、授乳室用品など多品目。

● 美容クリニック
化粧品ストック、レーザー消耗品、リネン類が膨大。
清掃用品の収納も重要。

● 歯科
滅菌済み器具・未滅菌器具の完全分離を行う。
収納量は全科中トップクラスで多い。

■ 収納設計の黄金ルール:FAUDS法

医療内装で使われる収納設計のフレームワーク。

  • F(Fast):すぐ取れる位置に
  • A(Accessible):アクセスしやすい
  • U(Uncluttered):散らからない
  • D(Design-neutral):見た目に馴染む
  • S(Safe):安全性を確保

FAUDSは多くの優秀な医療設計士が自然に遵守している原則である。

素材・照明・色・音・心理設計

患者の安心感や、診療時の使いやすさに関わるテーマをまとめています。

12.診療科別に最適な“素材選定”のポイント

医療内装では素材選びがデザインと同じくらい重要。

■ 内科

  • 抗菌フロア(長尺シート)
  • クロスは防汚・抗菌タイプ
  • ソファは耐アルコール素材
  • 天井は吸音ボードで遮音性アップ

内科は患者数が多いため、耐久性と掃除しやすさが鍵。

■ 外科・整形外科

  • 滑りにくい床材
  • 滅菌しやすい素材
  • 手術室周辺は塩ビシート+立ち上げ施工
  • シャワー・回復室は防水仕様

小児科

  • 衝撃吸収タイプの床材
  • 角を丸めた造作家具
  • 子どもが舐めても害のない塗料

■ 歯科

  • 診療ユニット周辺は水に強い床材
  • 壁は血液・水滴が飛んでも掃除しやすい素材
  • 白+木目で“治療の痛み”を緩和するカラーリング

■ 眼科

  • 光の反射を抑える素材(白光の眩しさ対策)
  • サインは高コントラストで視認性UP

13.照明(ライティング)計画の高度設計

クリニックでは照明の計画が重要。
患者の印象が変わるだけでなく、診療効率や検査精度にも影響する。

待合室:暖色の間接照明

  • 病院独特の“白くて明るい緊張感”を避ける
  • 優しい影を作ると安心感が生まれる

診察室:白色+間接照明のハイブリッド

  • 医師の表情が見えやすくコミュニケーションが円滑に
  • モニター作業の目の疲れも軽減

■ 小児科:明るめの白色光

  • 子どもが怖がらない雰囲気に
  • 影が濃くならない照度設定が望ましい

眼科:眩しさを極力排除

  • 光源が直接目に入らない照明設計
  • 床・壁の素材と照明角度のセット設計

14.クリニック内装の「色彩心理」完全版

色には明確な心理効果がある。

内科:安心を与えるアースカラー

  • ベージュ
  • オーク
  • グレー

「落ち着く」空間を作りやすい。

外科:クリーンさを感じさせるブルー

  • 清潔
  • 冷静
  • 安心感

ただし“冷たすぎる青”は避け、淡いブルーグレーがベスト。

小児科:パステルカラー

  • イエロー(明るい)
  • グリーン(安心)
  • ピンク(柔らかさ)

歯科・美容:白×木目の鉄板コンビ

  • 高級感
  • 清潔感
  • 女性の好む「ニュートラルな上質感」

15.クリニックの「音響・遮音」設計

見落とされがちだが、音は患者満足度に直結する。

◎ 遮音が特に重要な診療科
  • 心療内科
  • 産婦人科
  • 美容皮膚科
  • 歯科(ドリル音)
◎ 対策例
  • 壁の遮音シート
  • 吸音パネル
  • 天井ボードを吸音素材に
  • 待合室のBGM

音は「心理安全性」に影響するため、投資価値が高い。

16.クリニック内装で患者の不安を取り除く“心理デザイン”

患者はクリニックに来る時、以下の不安を持っている。

  • 治療が怖い
  • 痛いかもしれない
  • 料金が心配
  • 清潔かどうか気になる
  • 他の患者に会いたくない(産婦人科・美容)

内装でこれらを大幅に改善できる。

■ 心理デザインの技法

  • 優しい色使い(ベージュ・木目)
  • 間接照明
  • 曲線デザイン(恐怖感を減らす)
  • 視線コントロール(患者同士が見合わない)
  • 受付での待ち時間を軽く感じさせる空間演出
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