内装工事より前に必要なこと

内装工事の前に準備が必要な理由

クリニック開業では、内装工事は大きな山場ですが、実際にはその前に決めておくべきことがたくさんあります。
事前準備が不十分なまま工事に入ると、工事の遅延・追加費用・レイアウトのミスマッチ・開業時期の後ろ倒しにつながることがあります。

また、クリニックは一般的な店舗と違い、医療法・建築基準法・消防法・バリアフリー・感染対策など、確認すべき条件が多いのも特徴です。
そのため、まずは「工事前の準備」を順番に整理することが大切です。

工事前準備の全体像

クリニックの内装工事は、設計事務所・施工会社・医療機器業者・行政・消防・オーナーなど、関わる人が多く、工程も複雑です。
そのため、まずは全体の流れを把握し、開業日から逆算して準備を進めることが重要です。

工事前に押さえたい6つの準備ステップ

STEP

事業計画を立てる(1〜2ヶ月)

診療圏・診療方針・必要設備・想定患者数を整理して、開業の土台をつくります。

STEP

物件を探す(0〜6ヶ月)

立地だけでなく、電気容量・給排水・換気・法令・テナント条件まで確認します。

STEP

基本計画をつくる(1〜2ヶ月)

ラフプランをもとに、動線・レイアウト・スケジュールの方向性を固めます。

STEP

概算費用を把握して融資審査(1〜2ヶ月)

初期投資全体を見える化し、融資審査に必要な書類を準備します。

STEP

基本設計を進める(1〜3ヶ月)

平面図・設備図・照明計画など、工事に必要な図面を整えていきます。

STEP

実施設計・最終調整(1〜2ヶ月)

見積・予算調整・設備確定・申請準備を進め、工事契約へつなげます。

※ 各ステップの期間目安は、事業計画〜実施設計まで数ヶ月単位で見ておくのが一般的です。

ポイント

最初から細かく決めきるより、
まずはこの6ステップで「今どこにいるか」を見える化すると進めやすくなります。

1. 事業計画で整理しておくこと

工事前準備の最初の土台になるのが事業計画です。
ここが曖昧だと、必要な広さや設備、内装の方向性が決まりにくくなります。

事業計画で整理する項目

  • 診療科目(内科・皮膚科・整形外科など)
  • 診療方針・コンセプト
  • 見込み患者数
  • 必要な医療機器と電源容量
  • 診察室・処置室の数
  • スタッフ人数
  • 1日に受け入れたい患者数
  • 感染対策を含む動線計画

診療圏分析で確認したい項目

  • 商圏人口
  • 同診療科の競合数
  • 年齢構成
  • 平日/休日人口の違い
  • 診療科目ごとの需要予測

これを整理しておくと、必要坪数や初期投資額の目安も見えやすくなります。

ポイント

事業計画は「融資のため」だけでなく、
内装の優先順位を決めるための資料 としても重要です。

2. 物件探しで確認すること

物件選びは、立地だけでなく「クリニックとして使えるか」の確認がとても大切です。
工事ができる前提条件(設備・法令・テナントルール)を、早い段階で確認しておきましょう。

立地・アクセスのチェックポイント

  • 駅からの距離
  • 視認性(路面・角地など)
  • エレベーターの有無
  • アクセスしやすさ
  • 駐車場の有無(郊外型)

広さ(坪数)の目安

診療科目によって必要坪数の目安が異なります。
例として、内科・小児科は25〜35坪、皮膚科は20〜30坪、整形外科は40〜60坪など、診療内容に応じた広さの確保が必要です。

設備容量のチェックポイント

  • 電気容量(CT・MRIなどは特に要確認)
  • 給排水設備(手洗い・処置室・トイレ増設)
  • 空調能力
  • 換気設備(感染対策)

法令・テナントルールの確認

  • 医療法に基づく面積要件
  • 消防法(防火区画・避難経路)
  • 建築基準法(用途変更の要否)
  • バリアフリー対応
  • 看板ルール・営業時間制限
  • 天井裏施工可否・水回り増設可否

特に水回り・空調の増設可否は、開業可否に関わるため早めに確認しておくと安心です。

注意

「立地が良い」だけで決めると、あとから設備・法令面で難しくなることがあります。
物件は 立地+設備+法令 の3点で確認するのがおすすめです。

3. 基本計画で決めること

候補物件が決まったら、ラフプランをもとに基本計画を進めます。
この段階では、レイアウト・動線・予算・スケジュールの方向性を整理して、後工程の土台をつくります。

基本計画で整理する内容

  • ラフプラン作成
  • 動線計画(受付〜診察〜処置〜会計)
  • 感染対策導線の整理
  • レイアウト方針の決定
  • 予算の初期設定
  • 全体スケジュール作成
  • 保健所・消防への事前確認

特に重要なのは「動線計画」です

クリニックでは、患者さん・スタッフ・物品・感染対策の動線を整理しておくことがとても重要です。
ここが曖昧だと、患者さんの滞留やスタッフ負担、医療安全面の課題につながりやすくなります。
工事前の段階で、できるだけ具体的に整理しておくのがおすすめです。

患者動線で見るポイント

  • 入口から受付まで迷わない
  • 待合から診察室までスムーズ
  • 会計・退出が混雑しにくい
  • 案内表示がわかりやすい

スタッフ動線で見るポイント

  • 診療・処置の行き来がしやすい
  • 備品補充・清掃動線が無理なく取れる
  • 患者動線とぶつかりにくい
  • バックヤードへのアクセスがよい
注意

動線は「図面ができてから」ではなく、
ラフプランの段階で先に考える と、後からの修正が減りやすいです。

4. 概算費用を把握して融資準備を進める

基本計画のラフプランをもとに、施工会社へ概算見積もりを依頼し、融資準備を進めます。
この段階では、内装費だけでなく、医療機器費・広告費なども含めて初期投資全体を整理しておくことが大切です。

融資準備でよく使う書類

  • 事業計画書
  • 初期投資計画(内装費・医療機器・広告費など)
  • 資金繰り表
  • 見積書(内装・医療機器)
  • 医師免許証
  • 確定申告書/源泉徴収票(勤務医の場合)

初期投資の整理表

項目内容の例備考
内装工事費内装・設備・施工費概算見積もりで確認
医療機器費診療機器・什器備品診療科で大きく変動
広告・広報費看板・Web・印刷物開業前後で必要
運転資金開業後の固定費など余裕を持って見込む
ポイント

見積もりは「内装費だけ」で見ずに、
開業に必要な全体費用 として整理すると、資金計画が立てやすくなります。

5〜6. 基本設計・実施設計で進めること

融資の目処が立ったら、設計事務所と正式に進め、工事に必要な図面や仕様を固めていきます。
クリニックは設備要件が多いため、設備図面の精度が特に重要です。

基本設計で作る主な図面・資料

  • 平面図
  • 断面図
  • 電気設備図(医療機器容量を含む)
  • 給排水設備図
  • 空調図
  • 照明計画
  • 仕上げ仕様書(床・壁・天井)

実施設計・最終調整で確認すること

  • 正確な工事見積もりの確認
  • 予算調整(優先順位の整理)
  • 設備・仕様の最終確定
  • 医療機器の搬入経路確認
  • 行政への最終申請準備
  • 工事契約に向けた最終確認
使い方のコツ

一度で全部そろえようとせず、
「今どこまで決まっているか」を確認する使い方でも大丈夫です。

工事前準備の実践チェックリスト

最後に、工事前に確認しておきたい内容をチェックリストでまとめます。
打ち合わせ前の整理や、進捗確認用として使っていただけます。

  • 事業計画(診療科目・患者数・設備)が整理できている
  • 診療圏分析の内容を確認できている
  • 物件の立地・広さ・アクセス条件を確認できている
  • 電気容量・給排水・空調・換気を確認できている
  • 法令・消防・バリアフリー・テナントルールを確認できている
  • ラフプランで動線計画を整理できている
  • 概算見積もりを取得している
  • 融資準備書類をそろえ始めている
  • 基本設計で必要な図面・仕様の整理ができている
  • 最終調整の優先順位(予算・設備・工期)が決まっている
ポイント

この段階では「デザインを詰める」だけでなく、
工事が安全に進められるか という視点での確認が大切です。

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工事前準備が整理できたら、次は工事全体の流れや、内装の条件・診療科別のポイントを確認すると、より具体的に計画しやすくなります。

まとめ

クリニックの内装工事は、工事に入る前の準備で進めやすさが大きく変わります。
事業計画・物件確認・動線計画・費用整理・設計準備を順番に進めることで、手戻りや追加費用を減らしやすくなります。
まずは「今どこまで整理できているか」を確認しながら、無理のないペースで進めていきましょう。

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